《ハードウエア》



ブロック図

 

CPU

μPD9002 8MHz

 VA用に開発されたオリジナルCPU。

 ソフト的には、V30モードとμPD780(Z80)エミュレーションモードを持ちます。
 V30モードではV30とほぼ同じ命令セットを持ちますが、4命令が削除されています。一方、V1/V2モードエミュレーションのために、I/Oポートをアクセスしたときに発生する割り込み(I/Oトラップ)を、(貧弱ながら)備えています。
 μPD780モードでは、その全命令セット、未定義命令の多く、V30モードへ移行する命令2つをサポートしています。

 ハード的には、V30をコアとし、DMAコントローラ・割り込みコントローラ・タイマ・クロックジェネレータ等の周辺回路を内蔵していて、V50と同様な構成になっています。

コプロセッサ

(オプション)
8087相当

VA2/3でのみ登載可能。

メモリ

ROM

 文字セットは98が持っているものとほぼ同じでしょう。

 後期の88Mシリーズがそうであったように、漢字変換に使用する辞書をROMで内蔵しています。この辞書はNECのワープロ「文豪」シリーズ用に作られたものと同じだそうです。

RAM

 メインRAMは標準では512KBになっています。

 バックアップRAMは、外字の記憶、漢字変換学習結果の記憶、ソフトウエアディップスイッチに使用しています。

 テキストVRAMは、テキスト画面の他に、スプライトパターンでも使用します。VA2/3では256KBに拡張されていますが、これらの目的に使用されているのは、事実上その内の64KBだけです。

 グラフィックVRAMは98と同じく256KBです。

 サウンドRAMはADPCM用に用意され、サウンドLSIにつながれています。VA1ではサウンドボード2を増設することにより、このRAMも登載されます。

メモリマップ
 メインメモリエリア以外すべてバンク切り替え方式をとっています。

ディスプレイ

 ビデオ出力を使って、VAの表示画面のビデオ録画などができます。

テキスト画面・スプライト画面

 これらの制御はTSP(テキスト・スプライトプロセッサ)(μPD72022)が行なっています。
テキスト画面

スプライト画面

グラフィック画面

表示

 グラフィック画面表示は、グラフィックVRAMに設けられた仮想画面(フレームバッファ)をディスプレイ(正確には分割画面)にマッピングすることによって行なわれる、というイメージです。
フレームバッファ 分割画面

 このフレームバッファサイズを比較的自由に設定できるのが特徴です。2画面を使用したときに解像度、発色数が比較的自由に選べるのも便利です。

描画

その外の画面表示機能

パレット
 16個1組のパレットセットを2セット持ち、各パレットには4096色から選んだ色を設定できます。
 パレットセットはテキスト・スプライト・発色数1/8/16/32色のグラフィック画面で使用されます。
 2セットのパレットを自動的に交互に切り替えて表示させることもできます(ブリンク機能)。

カラーコード
・12ビット(4096色)  
 パレットに色を設定するときに使用します。R・G・B各16段階(4ビット)で指定します。
・8ビット(256色)  
 発色数256色を指定したグラフィック画面で使用します。R・G各8段階(3ビット)、Bは4段階(2ビット)で指定します。  
・16ビット(65536色)  
 発色数65536色を指定したグラフィック画面で使用します。R・B各32段階(5ビット)、Gは64段階(6ビット)で指定します。

画面マスク
 指定した画面(テキスト、スプライト、グラフィック)の指定した矩形領域の内側(又は外側)を、すべて透明色として扱うようにする機能です。

画面合成
 テキスト、スプライト、グラフィック2画面の各画面の重ね袷の順序を指定できます。ただし、わりと制限があります。
 さらにこれらの画面の後に、バックドロップ画面、外部ビデオ画面(外部からビデオ入力で得られる画面:オプション)があります。

ビデオボード

(オプション)

 オプションのビデオボードを登載することにより、ビデオデジタイズ機能、スーパーインポーズ機能が使用できるようになります。

ビデオデジタイズ
 ビデオ・テレビなどの映像出力信号をVAにつないで、これらの映像をグラフィック画面に取り込む機能です。

スーパーインポーズ
 ビデオ・テレビなどの映像とVAの画面表示を重ねあわせて表示する機能です。スーパーインポーズされた映像は、アナログRGB・(ビデオボードの)ビデオ出力端子から出力されます。自作ビデオ作品にタイトルを入れたりするのに利用できます。

サウンド

FM/SSG音源等
 VA1 では従来どおりの音源であったのに対し、VA2/3 からは機能が強化されました。VA1 でもサウンドボード2を登載することによって VA2/3 と同等の機能になります。
BEEP
 TCU #1 で設定した周波数でBEEPを鳴らします。
PORT
 1ビットの出力ポートで直接スピーカーをドライブ刷るもので、周波数はソフトウエアにより決定されます。
オーディオ入出力

割り込みコントローラ(ICU)

 2つのモードを持ちます。
μPD8214 モード
 V1/V2 エミュレーションで使用する。割り込みレベルは8レベル。
μPD8259 モード
 V3 モードで使用。CPU 内蔵の ICU とスレーブ ICU とで15レベルの割り込みを処理する。

 割り込みは以下の用に割り当てられている。(UINTxは拡張スロットに出力されている。)

   割り込み    機    能        割り込み  
    レベル                   ベクタ番号  
   -------- ------------------------------- -----------
    IR 0   タイマ1             08H  
    IR 1   キーボード            09H  
    IR 2   VRTC             0AH  
    IR 3   UINT0 (外部9.3MFDD)  0BH  
    IR 4   RS−232C          0CH  
    IR 5   UINT1 (内部9.3MFDD)  0DH  
    IR 6   UINT2            0EH  
    IR 7   スレーブ             ―――  
    IR 8   SGP              10H  
    IR 9   UINT3 (ハードディスク)  11H  
    IR 10   UINT4            12H  
    IR 11   FDC              13H  
    IR 12   サウンドコントローラ       14H  
    IR 13   汎用タイマ3 (マウスタイマ)  15H  
    IR 14   リザーブ             16H  
    IR 15   リザーブ             17H  

DMAコントローラ(DMAC)

μPD71071互換(CPU内蔵)

タイマ

◆TCU:μPD71054互換(CPU内蔵)
汎用タイマ2
 V1/V2 モード専用
汎用タイマ3
 15/30/60/120Hz の4種類のインターバルで割り込みを発生する。120Hz に固定して、システムで(マウス・フロッピードライブなど)で使用する。(98 のマウスタイマに相当。)
サウンドコントローラ内タイマ
FDD用タイマ

カレンダ時計

μPD4990
 年・月・日・時・分・秒。閏年対応。

キーボードインターフェース

 マトリクススキャン方式とキーコード方式が同時に利用できます。
マトリクススキャン方式
 88 で取られているのと同じ方式で、任意のキーのON/OFFの状態をI/Oポートから読むことができる。
・キーコード方式
 98 で取られているのと同じ方式で、キーが操作されるとそのキーのキーコードを受け取ることができる。

フロッピーディスク

 FDD を制御するインターフェース機能には2種類の方式があり、選択して使用することができます。V3モードでは通常 DMA モードが使用されます。
・インテリジェントモード
 88 と互換性のあるモードで、FDDの制御はサブCPU(Z80 相当)が行なう。FDDとメインメモリとの間のデータ転送はI/Oポートを通して行なわれる。
・DMA モード
 98 と同様なモードで、FDDを制御するコントローラなどはすべてメインCPUの管理下にある。FDDとメインメモリとの間のデータ転送は DMA により行なわれる

大容量フロッピーディスク

 VA3 は9.3Mバイトの容量を持つ3.5インチフロッピーディスクドライブ(2TD)を標準装備しています。VA1/VA2 では2TDを外部に増設することができます。

ハードディスク(SASI)インターフェース

(オプション)

 98 のものとまったく同じです。VA 用のインターフェースも発売されています。
 98 用のものもそのまま利用できます。(もちろん、メーカーの保証外ですが。)

プリンタインターフェース

◆セントロニクス社使用準拠
 88 と同様。

RS−232Cインターフェース

μPD8251AF
 88/98 と同様。ボーレートは TCU #2 が発生する。19200bps まで保証。

マウスインターフェース

 88mk2SR 以降に登載されている汎用入出力インターフェースと同等で、88/MSX 用マウスが使用できます。ジョイスティックなども接続できます。
 入出力には YM2203/YM2608 の入出力ポートを利用しています。

スキャナインターフェース

μPD8255
 スキャナインターフェースはNEC のイメージスキャナ IN-501/511/502/503/503H/503G/505/506 のパラレルインターフェースと接続できます。

拡張スロット

 汎用スロットは 98 の V30/8086 タイプの拡張スロットと(一部を除いて)同等です。

ソフトウエアディップスイッチ

 VA1では一部、VA2/3ではほぼすべてのスイッチ設定がディップスイッチでなくソフトウエアによるメニュー形式で設定できるようになっています。
・ほぼすべて: ディスプレイの選択(24KHz/15KHz)は背面のスイッチで行ないます。

LED

 本体前面に動作モード(V1/V2/V3)を示すための3つのLEDがあります。このLEDはソフトウエアで操作することができます。
1995/ 6/24